高温乾燥について

現在普及している乾燥機の主流は蒸気式のものですが、そのなかでも最近は高温乾燥タイプの導入が増えつつあるようです。
ところが、木材乾燥そのものを理解し、さらに高温乾燥を理解している方がどれだけいるでしょうか?
高温乾燥という言葉だけでとらわれていませんか?

ただ温度を上げるということは、われやひびを発生しやすくし危険を伴うものです。
場合によっては低温で時間をかけるほうが良い場合もあります。

高温乾燥を行うためにはそれなりの条件があります。
最近の高温といわれている機種は120対応のものが多くでていますが、要注意です。

一つは試験場の先生が指摘していることですが120の設定では庫内の温度ムラが避けられないことであるため、全体を120にすることは不可能であること。したがって、装置の能力としては120の設定ができること、また、極力温度ムラを少なくすることが重要とのことです。

しかし、現状のモーターの耐熱温度は120が限界のため循環ファンモーターが中置式の場合は事実上不可能です。

二番目に乾燥スケジュールによる温度上昇条件についてですが、ある所定の温度から120までステップアップしようとした場合いかに短時間で到達させるか、ということが重要なポイントとなります。
時間をかけてだらだらと温度を上げていくと、その間にわれ、ひびを生じる危険があります。そのために装置の熱容量が十分あることが必要です。

上記をふまえて機種選定をする場合の注意点を参考として記します。

1. 温度条件としては120℃以上の運転が可能であること。
  したがってファンモーターは外付けが高温乾燥の基本になります。
2. 熱容量が十分にあること。
  チェック事項として、ボイラー容量、
  熱交換ヒーターの本数、本体の断熱性などがあります。
3. 高温になるほど飽和蒸気圧が高くなります。
   120℃をこえると飽和蒸気圧が2㎏/㎝2以上になります。
   よって、それらに耐えられる強度の構造であることが必要です。
   内壁の板厚、構造材の強度、梁の数など。
4. 乾燥時に材から出る樹脂分はph2〜ph3といった強酸性の成分があります。
   この蒸気による化学腐蝕は、塩酸、硫酸に相当するくらいのものです。
   したがって、庫内部材はステンレスを基本として
   耐蝕性を考慮したものでなければなりません。

遠赤外線技術を応用した内面輻射法について

蒸気式乾燥機における遠赤外線の応用は、補助的な手段として捉えられるもので、装置の基本性能を上回るものではありません。
100の出力しかない装置が120の出力になるものではありません。

目的としては、
 1. 壁面の輻射効率をよくすることで室内の温度分布のムラを少なくする
 2. 遠赤効果により、材に対する熱の浸透性を良くし材の芯部と外周部の温度差を少さくすることで、われ、ひびを少なくする
 3. 熱の浸透性を良くすることが乾燥時間の短縮にもつながる
ということです。

遠赤外線という名前だけで、遠赤外線ヒーターを使用したものは、熱容量、ランニングコストの面から考えると実用的ではないと考えられます。
以上、特に蒸気式高温乾燥機の機種選定において注意すべき事柄をまとめましたので参考にしてください。

 

 

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